Introduction
最近、スポーツが好きだから、選手の手助けをしたいから、
アスレティックトレーナーになりたいと良く聞きます。
確かに、アスレティックトレーナーという響きは、
何となくカッコイイかもしれないし(?)、
スポーツと携われる仕事をしたいと思っている人には、
とても興味深い職業ではないでしょうか。
しかし、実際にはスポーツトレーナー、トレーナーなど、
色々と「トレーナー」という言葉は耳にするものの、
アスレティックトレーナーがどういう事をする人達なのか、
知らない人が多いと思います。
ここでは、アスレティックトレーナーというのは、
どういう職業なのか、少し紹介していきたいと思います。


アメリカでは、ATC(Athletic Trainer, Certified)が、
ぱっと頭に浮かびますが、日本では針灸師、
柔整師、理学療法士、 日体協アスレティックトレーナー、
そしてアメリカで資格を取得してから帰国した人達と、
様々な資格所有者がアスレティックトレーナーとして活躍しています。
この様に、日本とアメリカではアスレティックトレーナーの成り立ちも、
組織も違うので、まずは両方の現状を知っておく事が得策でしょう。


ここでは、私がアメリカでアスレティックトレーニングを学んだ事と、
日本のアスレティックトレーニングも、
アメリカから取り入れられている物が多い事から、
まずアメリカでのアスレティックトレーナーについて
説明していきたいと思います。
そして、最後に日本の所要資格の簡単な説明をしていきます。
 
Certified Athletic Trainer (ATC)
アスレティックトレーナーは、アスリートの健康と安全に関するスポーツ医学、
アスレティックトレーニングのスペシャリストです。
アメリカでアスレティックトレーナーと呼ばれる人達は皆、
NATABOC(*1)が発行する資格を所有しています。
資格取得者をATC、また日本ではNATABOC-ATC等と呼びます。
アメリカのアスレティックトレーナーの起源は、
第二次世界大戦以前にまでさかのぼり、
NATA(*2)が1950年に正式に発足されて以来、今日にいたります。


NATABOCが定める6つのアスレティックトレーナーの役割は、
  1. 傷害の予防
  2. 傷害の評価
  3. 傷害の応急処置
  4. 傷害の治療とリハビリテーション
  5. トレーニングルームの運営、選手の健康管理
  6. 職業の向上と責任
この6つの役割が中心となり、
アスレティックトレーナーは機能していく事になります。


傷害の予防は、練習前のテーピング、ストレッチングなど、
選手のコンディションを練習、試合の為に整える事から、
練習環境、競技器具などをきちんと把握し、危険を取り除く事等になります。
試合中、練習中に傷害が起こった際に、
アスレティックトレーナーは傷害の重傷度を評価、応急処置を施し、
医師の判断が必要な場合には、
整形外科医や内科医などの専門医に見てもらいます。
競技に復帰するための治療、
リハビリを施すのもアスレティックトレーナーの仕事です。


以上の4つの役割はアスレティックトレーナーの役割として、
比較的分かり易いところだと思いますが、
残りの二つも欠かす事はできません。
トレーニングルームを清潔に保つ、
必需品を補充する、選手の健康情報の管理。
ATCになってからも、常に新しい情報に耳を傾け、
継続的に勉強していく事も大切なアスレティックトレーナーの役割です。
ATCになった後も、3年間に一度、講習会や会合などで得た、
Continue Eduation Units(3年間で80)を提出しなければいけません。


私がトレーニングルームで実習をして持ったATCの印象は、
常にアスリートの事を考えている、良き相談相手といった感じです。
選手達は怪我をした、体の調子が悪いという時はまずATCに相談し、
ATCが必要だと判断すれば、
専門家を紹介するシステムになっています。
選手が競技続行可能か、試合に戻るのはいつかなども、
コーチ(監督)、ストレングスコーチ、ATC、
ドクター達で連絡を取り合っています。
何年も一線で経験をつんできた人の、手技、評価法、
テーピング、リハビリのテクニックやアイディアなどは特筆するものがあります。
このように、ATCは選手と医師、コーチの連絡役であり、
選手とチームが最高のコンディションで競技を行なえるようにする、
プロであると言えるのでしょう。


さて、ではアメリカでATCになる為にはどうすれば良いのでしょうか?
アスレティックトレーニングという分野で日本と一番大きく違う事は、
アメリカは現時点である程度システムが確立されている事でしょう。
2004年1月でインターンシップで研修、経験を積み、
資格試験を受けるというシステムは廃止されました。
それ故、今後ATCになる為には、
CAATE(*3)認定のアスレティックトレーニングプログラムに入り、
アスレティックトレーナーとして必要な机上の勉強と共に、
現場での実習も積んで行く事が必須になってきます。
プログラムは2年制か3年制のものがほとんどで、
基礎となるクラスを取ってから、
プログラムの選出試験や面接がある所が多いです。


最後に、日本ではATCは資格としての効果はありません。
ATCになる為に必要な基礎知識と経験を積んでいる人という、
ステータスといった感覚の方が正しいでしょう。
何も知らずにアメリカに渡ってきてATCを取得したは良いが、
日本で資格としての効果が無いと思って、
落胆する人もいるかも知れないので、
進路を考える際にきちんと理解しておく方が良いでしょう。


しかし、アメリカで得た知識と経験は日本でも生かす事ができるので、
資格としての効果は無くても、
アメリカに渡って勉強する価値はあると思います。
最後に、Oregon State University
Athletic Training Education Programの
Websiteをリンクします。
英語ですが、とてもまとまっていて分かり易いと思うので、
参考にしてみて下さい。


Link to OSU ATEP


*1 NATABOC
National Athletic Trainers' Association Board of Certification。
資格発行を管理する組織。
資格取得後のContinue Educationの情報などもこちら。

*2 NATA
National Athletic Trainers' Association。
アスレティックトレーナー向上の為、情報・統計管理、ジャーナルの発行、倫理規定などをまとめる組織。

*3 CAATE
Commission on Accreditation of Athletic Training Education。
関連保険専門家となる為の教育機関を認定する委員会。
ATCになる為には、CAATE認定のAT Programを卒業する必要があります。
各州のプログラムは、Accredited Programから検索する事ができます。

 
Athletic Trainers in Japan
日本でアスレティックトレーナーとして活躍する人達が保有する資格には、
大きく4つあります。
日本体育協会公認アスレティックトレーナー(日体協AT)、
鍼灸師、柔整師、理学療法士です。


日体協ATは日本唯一の公認アスレティックトレーナーです。
この資格を取る為には、日本協関連団体の推薦を受けた者が、
日体協の行なうアスレティックトレーナー養成講習会を履修、
検定試験に受かるか、養成講習会免除適応コース承認校を卒業して、
検定試験に受かるの何れかです。
推薦者はある程度経験や実績のある人が選ばれるようです。
大学の承認校の利点として、学生トレーナー活動が活発なのと共に、
大学スポーツなどでトレーナー活動が行なえるという、
日本では数少ない実習の経験がつめる事だと思います。
専門学校の場合、トレーナー活動の場は限られている可能性がありますが、
講師の方々に経験、知識の豊富な方が多い所が多いので、
自分次第で良い環境にする事ができるでしょう。
ただし、日体協アスレティックトレーナーの資格は、
医療資格では無いので、将来的に開業などはできません。


日体協AT以外の資格は全て準医療資格です。
鍼灸師は鍼灸院、柔整師は整骨院を開く事ができ、
理学療法士は病院やクリニックで、
リハビリテーションを中心に働く事ができます。
整骨院では、保険を使える事も他の資格との大きな違いでしょう。
これらの資格取得の際に、解剖学や生理学、物理・手技療法など、
健康管理に必要な事を学びます。
しかし、スポーツやトレーニングを中心とした勉強を特別にやる訳ではないので、
アスレティックトレーナーとして必要な知識をその他に培う必要があります。


こちらは、承認校、養成校のリンクです。  
 
AT @ HIRO